4-人間だからあがる
柳生博さんといえば、テレビやドラマに活躍中の人ですが、この人は若いとき、俳優という職業にかかわらず、対人赤面恐怖症で人前だとどもって声が出なくなる時期があったそうです。それがいまでは人前でバリバリと仕事をしている。それだけでもりっぱだと思うのですが、あるとき氏が、「私にとってあがるのは大事なことだ」というのを聞いて、ハッとさせられたことがあります。あがるということが、氏の俳優生命を支えているというのです。そして、「私はいまでもこんなにあがっているんですよ」と、掌を示して、にじんだ汗をみせていました。
いったいこれはどういうことなのでしょうか。
私は次のように解釈しています。人前で強く緊張すればするほど、私達の心臓の鼓動は高鳴ります。のどが無性に渇いてきます。でもそれは、不慣れな場面にうまく適応していこうという生体の自然な反応なのです。これからの事態に真剣に取りくもうという姿勢の一つの反応なのです。、柳生さんのいいたいこともこのことではないでしょうか。そう考えれば、あがりそうだからと言って大慌てすることはないこともわかります。”あー、自分も人間なんだなあ”と思えばよいのです。あがると思ってうろたえるから、どうしようもなくなるのです。真剣だからこうなるのだと、ちょっと自分自身突き放した見方ができれば、やがて心も落ち着いてくるのです。
追田保著「人前でうまく話せる本 これであなたの話し方は見違えるようになる」P20
















