2-常に前向きに考える

  話すことに対して気が重いとか、恐いとか、苦手であると思っている人は、物事をとかくマイナス・イメージでもって考えることが多いのではないでしょうか。まだやりもしないうちから、”どうせうまくいかないに違いない””ヘマをしたらどうしよう”・・・・・・と、悪いほうへばかり想像をめぐらすのです。過去に失敗した経験をもつ人ならなおさらそのときのことが思い出されて、クヨクヨ考えこんでしまうのです。これでは、試す前から勝負があったも同然です。

 「マーフィーの成功法則」というのがあります。マーフィー博士は人間の潜在意識について深く研究した学者ですが、この人が次のようなことをいっています。

よいことを思えばよいことが起こる。悪いことを考えれば悪いことが起こる
               ー大島淳一著「マーフィー100の成功法則」産業能率大学出版部刊ー

 つまり、”きょうは悪事だ。万事まずく行くぞ””おれは成功しないだろう””みんなおれに反対している”などと思えば物事はそのような方向へ展開し、逆に、”きょうは幸福を選ぶ””成功を運ぶ”・・・・・・と思えば、いい結果が導かれるというのです。
 確かに私たちは、暗示に非常に弱い部分があります。周囲の人々から、「顔色が悪いですね。どこか悪いんですか」と異口同音に尋ねられたりすると、いわれた本人は、実はそれほどでもないのにかかわらず、自分は病気だと思い込んで寝込んでしまう、というのは身近に見聞きするところです。悪いと思った瞬間から、自分を事実その方向へ引っ張っていってしまうのです。

 物事に勇気を持って取り組んでみるというのは、そうしたマイナス・イメージ、悪い想念から自由になることを意味しています。ともかく最善を尽くしてやってみる。そこから全てはスタートするのです。

 そして、その際大切なことは、自分自身を信頼することです。「自分を信頼する」というのは変な表現かもしれませんが、要するに、失敗したからといって過度に自分を責めないということです。失敗したとすればどこがいけなかったのか、他の成功した人と比べてどの点が劣っていたのかーー話す態度なのか、ネタ選びなのか、間のとり方なのか、等を反省して次回に生かすのです。失敗という結果にこだわるのではなく、そこから教訓を引き出して、次回以降によりよく成長していこう、という姿勢が大事なのです。

 これは成功についても同様です。うまくいったからといって有頂天になってウヌボレたりしないで、どこが好評だったのか、偶然の要素はなかったか、他人から学ぶべき点はなかったか、など謙虚に振り返ってみることです。そして、実力を一歩一歩高めていくことです。
 文豪バーナード・ショウはスピーチの名手としても知られている人ですが、スピーチに上達する秘訣を聞かれて「スケートの滑り方と同じ。失敗して人に笑われても臆せず練習すること」と答えたそうです。常に前向きの姿勢で取りくむことが、話す能力を大きく向上させるのです。

出典:追田保著「人前でうまく話せる本 これであなたの話し方は見違えるようになる」P17-P18

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